仮想通貨は有価証券か?
仮想通貨の一つであるイーサリアムがアメリカの証券取引委員会(SEC)より有価証券にあたるのではないか?とニュースになりました。
では、そもそも有価証券とは何でしょうか?
有価証券:株、小切手、手形などのことを言い、上記の所持者はその財産等の保有者であることを表し、財産権の行使にはそれら証券が必要である。
とあります。例えば、保険証やホテルなどのクロークに預けた荷物の預かり証、預金通帳なども有価証券ではないか?と疑問が湧きますが、それらは有価証券にはあたりません。
一般的に有価証券は他人に譲渡し財産を移転することが可能です。しかし、預金通帳であれば、名義人や印鑑などで本人を確認することで預金を引き出すことができますが、他人にそのまま通帳を渡しただけでは自由に引き出すことができません。
ここに、有価証券であるか、ないか、の違いがあります。保険証や預かり証も含めそれらを証拠証券と呼び、有価証券とは大別されています。
では、話を戻してイーサリアムはどうでしょうか。
イーサリアムなどの仮想通貨は自由に送金等をすることができます。また、海外取引所などでそれら仮想通貨を売買するのに本人確認が不要であるケースも散見されます。
また、イーサリアムの場合はスマートコントラクトを利用することで、不動産取引の記録をすることもできます。
このような事実を見ると確かに株券と同じように一部の仮想通貨も有価証券にあたるようにも見えます。
しかし、6月12日にアメリカの証券取引委員会よりイーサリアムは証券にあたらないとコメントがありました。これを受けてイーサリアムは一時、価格を上げたようです。
イーサリアムについては今回、有価証券にあたらないという見解が発表されましたが、それと同時にICO(イニシャルコインオファリング)の発行に関しては有価証券にあたるのではいかという含みがもたされています。
今、日本でも仮想通貨に関する規制強化が取り沙汰されており、ICOに関しても規制が厳しくなり年内には国内ICOはできなくなる、という噂もあります。
ことICOに限っては有価証券とみなすという認識が広まり世界的にも株式と同等に扱うなど規制が厳しくなりICO発行のハードルが上がるのではないかと思います。
有価証券と認められれば株式と同じように仮想通貨取引所も証券取引の認可を経なければならず、現在の多くの仮想通貨取引所は該当通貨は取扱えなくなってしまうことになります。
2018年6月現在はまだ仮想通貨はICO含めあくまで通貨という認識です。しかし、一部の仮想通貨やICOで発行されたトークンは有価証券とみなす、という動きが世界的にあるというのは頭に入れておいたほうがよさそうです。