9011(ベックマン)と手入れ〜レッドウィング〜

9011(ベックマン)

レッドウィングの中でも特に人気のあるベックマンの中から9011という品番のブーツを紹介します。

私のベックマンの購入は2014年4月なので5年弱ほど使用しています。

ベックマンの9011はブラックチェリーというカラーでご覧のとおり、暗めの茶色にやや紫が入ったような色合いです。

アッパーの革は以前の記事で紹介した8758166とは違う種類のフェザーストーンというレッドウィング独自の鞣し処理された革が使われています。

以下にレッドウィング社のフェザーストーンレザーに関する解説を引用します。

【フェザーストーン】

「フェザーストーン」レザーはレッドウィング社の自社タンナーにて鞣された特別なレザーである。まずハイドを1枚ずつ丹念に手作業で検査し、最高の品質を持つしなやかなものだけを選り分ける。抜群の耐久性と美しさを兼ね備えたレザーに仕上がる、高い品質のハイドだけを使うためだ。ここで全体の約5%にしか相当しない最上の素材が選ばれる。さらに独特の風合いの深みのある革にするため、マスター・タンナーがオイル、ワックス、染料を調合し、松の木でつくられた古いミル(ドラム)にてじっくりと時間をかけて鞣される。こうしてつくられた、「フェザーストーン」レザーはレッド・ウィング・クラシックドレス・コレクション(ベックマンブーツ)のみに使われる。

出典:RED WING SHOES 2013-2014 CATAROGUE  page12より引用

上記のようにベックマンに使用されているフェザーストーンという革はレッドウィング社が特に上質だと判断したレザーしか使われていないことからも、ベックマンという製品に同社のこだわりや熱意が伝わってきます。

そもそもベックマンというモデル名も創業者のチャールズ・ベックマンを冠して名付けられていることから、同社のこのモデルに対する思い入れを感じます。

レッドウィング社こだわりのフェザーストーンレザーの特徴は何と言っても革自体が放つ艶でしょう。

手入れはレッドウィングの他の多くのモデルと違い、ミンクオイルは使わずにシュークリームで磨くのが一番オーソドックスな手入れになります。

そうすることにより上の画像のように購入から5年経っても綺麗な艶を維持することができます。

逆にあえてくすんだオイリーな雰囲気でワークブーツらしくベックマンを履く方法もあります。

やり方は簡単でシュークリームの代わりにミンクオイルで手入れをすればOKです。

個人的にはせっかく艶が売りのフェザーストーンですから前者のシュークリームによる艶を引き立たせる手入れ方法がオススメです。

では、ここからは私がオススメするシュークリームを使ったベックマンの手入れ方法を紹介したいと思います。



ベックマンの手入れ手順

・必要な道具

・馬毛ブラシ ・ステインリムーバー ・シュークリーム(ニュートラルまたはバーガンティ) ・豚毛ブラシ ・ミトンまたはネル生地のクロス ・雑巾

①汚れ落とし

まずは靴紐を外し、靴全体を馬毛ブラシでよくブラッシングしましょう。

特に普段汚れを落としにくいアイレットとタンの間の隙間部分なども漏らさずしっかりと埃などを掻き出します。

ステインリムーバーで古いクリームや汚れを落とす。

馬毛ブラシで埃や汚れをおとしたらステインリムーバーを布にとりブラシでは落としきれない古いクリームや頑固な汚れを落とします。

③シュークリームを塗る

シュークリーム(ニュートラル)をスポンジで取りアッパー(革)に塗り広げます。スポンジの代用としてペネトレイトブラシや素手で塗るのも可です。

豚毛ブラシでアッパーのクリームを馴染ませましょう。

④磨き

しっかりと豚毛ブラシで馴染ませたら、ミトンまたはネル生地のクロスで磨き上げます。

すると革の銀面にこのように艶が出ますので、靴紐を戻して手入れの完了です。






・補足

革の銀面が傷ついて目立つ場合は色付きのシュークリームを塗ることで目立たなくすることができます。

ベックマン9011の場合私はサフィールのバーガンディ色のシュークリームを塗っています。

色付きのシュークリームを使う場合は革の色よりも薄い色を選ぶのが基本です。

目立つ傷がない時は基本無職のニュートラルを私は使用していますが、普段から色付きのシュークリームを使う人もいます。

普段から色付きのシュークリームを使うことで、徐々に革靴の色がシュークリームによって変化してきますから、狙った色味を出したいやや玄人向けの手入れ方法かもしれません。

特に狙った色に育てていきたいという気持ちはなくても、色付きのシュークリームによって生じる色の変化を楽しみたいという気軽な気持ちで使うのも面白いと思います。

一点注意したいのはベックマンの場合、革と革を繋ぐ縫製(ステッチ)に使用している糸は白いので一面に色付きのシュークリームを塗るとステッチまでも同色に塗りつぶしてしまい、革靴全体がのっぺりとしてしまいます。

細かいことですが気になる方はステッチ付近は避けるなり配慮が必要です。

・補足②〜手入れに一手間〜

ベックマンのアウトソールはハーフラバーとなっており、土踏まず付近は画像のとおりレザーが露出した状態になっています。

このレザーの部分も手入れの際に時々オイルを入れてあげるとソールが長持ちします。

私がソールのレザーに使っているのはレッドウィング純正のALL NATURAL LEATHER CONDITIONER(オールナチュラルレザーコンディショナー)です。

こちらを直接手にとりソールのレザー部分に薄く塗り広げます。(レザー部分の汚れがひどい場合は固く絞った雑巾で汚れを拭き取ってから塗りましょう)

まとめ

ベックマンはレッドウィング社のラインナップの中でもとりわけドレスシューズ寄りに振ったブーツでジャケパンスタイルなど綺麗目なコーディネートに相性が良いブーツです。

このようなドレス寄りのブーツをセミドレスと呼びます。

実はベックマンは2006年頃わずかの間ですが、かのホーウィン社のクロムエクセルの革を使用していました。

クロムエクセルは製靴の過程でロスがでやすくすぐに生産が打ち切られてしまいました。

そのため生産数が少なく今や希少性の高いブーツになっています。

レッドウィングは世界の革靴メーカーでも自社タンナーを持つ稀有なメーカーです。

その強みを活かし、クロムエクセルに代わるレッドウィング社が望むレザーを自らが生み出したのが『フェザーストーンレザー』です。

ブログのホーム画面上部の画像は私の足元を写しているのですが、実は履いているのはこのベックマン9011です。

レッドウィング社の歴史、こだわりを背負って誕生したベックマンブーツ。特に私がオススメする足元が引き締まるブーツです。


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