世界的な仮想通貨の規制なぜ?

仮想通貨を国が規制する理由





世界各国が仮想通貨を規制や禁止する理由でよく言われているのは、テロ組織や犯罪者がマネーロンダリング(資金洗浄)に仮想通貨を利用するからと言われます。マネーロダリングとは強盗や犯罪等で手に入れたお金を足がつかないようにお金を換金することを言います。

国が仮想通貨取引所をしっかりと指導・監視せずに放置した場合、きちんとした本人確認も行われず上記のような犯罪者から格好の餌食となることでしょう。

ここまではよくニュース等でも喧伝されている話です。しかし、国が仮想通貨を規制や禁止をする理由にはもう一つ大事な理由があります。

あまり語られない仮想通貨禁止の理由

中国では2017年9月に仮想通貨が全面禁止になりました。その理由として、まず背景にあるのが中国が発行する法定通貨、”人民元”は国外への送金を厳しく監視しております。自国の資金が海外へ流出するのを防ぐためにしているのですが、中国の国民はその監視の目を逃れるためにたくさんの人がビットコインを始めとする仮想通貨に替えて資金を動かしておりました。

この動きを防ぐために禁止をしたのが一つの理由です。

そして、もう一つの理由が政府が中央でコントロール(管理)できない通貨は国にとって非常に都合が悪いからです。

これは中国に限った話ではありません。そもそも各国の中央銀行で発行される通貨は法定通貨といい国の信用のもと安定した価値を保つように政府(国)が発行量等を調整しております。

実は中央銀行は国民全員の預貯金の金額を全て把握しております。(そのシステムについては後日記事にします)しかし、仮想通貨の出現により中央銀行を介さずにお金の売買や保有ができてしまうため国は国民の資産を把握できなくなってしまいます。

同時に法定通貨から仮想通貨に資産がシフトしてしまう訳ですから、国は法定通貨の発行に関する影響力が減ってしまうことになります。

例えば不況の際に政府は大量のお金を刷り金利を下げる事で、銀行が企業に積極的にお金を融資するように仕向けます。銀行から融資を得た企業は自社の設備投資や事業の拡大にお金を使い、売り上げが上がることで社員の賃金が上がります。こうして収入の上がった国民は預金をしても低金利のため利息がほとんどつきませんので、消費が増えて景気が良くなる、という風に法定通貨を国がコントロールすることで不景気の脱却を図ってきました。

しかし、国民の多くが法定通貨を仮想通貨に交換してしまった場合、上記のような政策の効果が減少してしまう懸念が発生します。

不景気が続くと国民は政府の政策に対して不満を持ちます。ましてや社会主義国である中国にとって国民の不満が政府に向くことは最も避けたい事態です。そのため、中国は他の国よりも厳しい”仮想通貨の全面規制”に乗り出したのです。

国の非常事態に仮想通貨は不都合!?

みなさんは”預金封鎖”という言葉はご存知ですか?

預金封鎖とは国がある日突然、国民全員に対して1ヵ月に50000円しか銀行からお金を引き出すことができなくなる規制をかけてしまうことです。(注:規制額は例です。)

上記はあくまで例ですが、借金だらけで首が回らずお金に困った国が取る奥の手、それが預金封鎖です。

国民の銀行に預けている貯金を実質国がほぼ全て召しあげるということになります。それだけではなく、ダイヤや金などの貴重品類も全て徴収されてしまいます。

しかし、その際に徴収が困難になるであろう資産が”仮想通貨”なのです。法定通貨は上述の通り、中央銀行を通して国民の全預貯金を国が把握できますが、実態がなく銀行を介さない仮想通貨の保有数を把握することは非常に難しくなります。

難しい理由は、ビットコインアドレスはどのアドレスがどのくらいビットコインを保有しているか、は分かりますがどこの誰が持っているかはアドレスだけでは絶対にわかりません。

そのため、2013年にギリシャが金融危機を迎えた時に、預金封鎖が行われるのを危惧した国民がビットコインに通貨を交換しました。実際に預金の引き出しが制限された時にはATMからビットコインを現金に両替することで、難を逃れた人がいました。

仮想通貨が上記のような非常事態に効果があることを証明する好例であると思います。

また、驚くことにこの預金封鎖は70年ほど前の日本でも行われました。当時、第二次世界大戦に敗れた日本は100兆円以上の負債を抱えていました。

おまけに当時の日本は一面焼け野原で国民は疲弊し、とてもお金を返済できる状況ではありませんでした。そこで、苦肉の策として行われたのが預金封鎖だったのです。

現代の日本で数年以内に預金封鎖がされることは流石にないと思いますが、今後少子高齢化がますます進むのは確実視されており、日本の労働人口は減る一方です。労働人口が減ると当然景気も上がらず、税収が減ります。かといって増税にも限界がありますので、その先には預金封鎖というのも数十年後の将来ではあり得るのではないかと個人的には考えています。

今後の日本は上記の最悪のシナリオを防ぐために、出稼ぎの外国人労働者の受け入れやAIによる労働生産性の向上が必要なのかもしれません。

出稼ぎ外国人労働者の増加による治安悪化の懸念やAIの台頭により生産性が大きく上昇し失業者が出ないか?など新たな問題も考えられますが、今のうちからそういった事にアンテナを張っておくことは大切だと思います。

最近、投資を始めて経済の勉強をして感じるのは、日本は豊かな先進国、といつまでも胸を張って言えるのか不安になることがあります。タイなどの発展途上国の人たちは活気溢れいつかの日本のように経済発展著しいようです。

僕ら日本人(特に若い世代)は現状に流されず危機感を持つくらいがちょうど良いように感じます。

 

 

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