エドワードグリーンの新旧ロゴ比較

エドワードグリーンの歴史

少々マニアックな話になりますが、みなさんはエドワードグリーンのロゴが年代ごとに変化しているのはご存知でしょうか。

エドワードグリーンという革靴メーカーは今やイギリスの紳士靴を代表するJohn Lobbと肩を並べる伝統あるメーカーで名を馳せていますが、わずか数十年前までは倒産の危機にある企業でした。

浮き沈みが激しくも、生き残り業界で名を馳せるメーカーに上り詰めた様は畑は違えどApple社を彷彿とさせるのは私だけでしょうか。

Appleのリンゴが欠けたマークは印象的であり、そのロゴを見れば誰もがPCメーカーのAppleを連想すると思います。

Apple社は最初ロゴを虹色に染めておりましたが、今はカラーが変更されるなど、ロゴに対するこだわりも感じます。

対してエドワードグリーンも社名をアルファベットで表記したロゴをフォントや配置を変え、何度か変更しています。

こうした変化はエドワードグリーンの会社としてのロゴに対するこだわりを感じますし、箱一面のグリーンの色は企業のカラーを主張しており、一目でそれがエドワードグリーンの靴であることが分かります。

経営の厳しい局面を経験しつつもこういった、ロゴやカラーにより自社をブランディングして危機を打開していく手法は先ほど述べたApple社と重ねて私は見てしまいます。

もちろん両社ともその大前提にあるのは、ユーザーが満足する良質の物(価値)を提供していることです。

エドワードグリーンは1890年の創業当初から今に至るまで、高品質な革靴を生産し続けてきました。

それは創業者のこだわりを頑なに守ってきたことで、大量生産には走らず高品質を維持してきたのです。

しかし、その長い歴史の中で経営危機を迎えエルメスに工場とラストを買収されてしまうという存続の危機を迎えた時代もありました。

そんな苦しい状況を救ったのがフルスティック氏でした。

彼は現代風のエッセンスを取り入れた新たなラストを次々と発表し、エドワードグリーンにブランド復活のきっかけを与えます。

その彼が亡くなった2000年以降もトニー・ガジアーノ氏が82ラストを発表し人気を博すなど、現在に繋がるエドワードグリーンの地位を不動のものにしました。

ちょうどその2000年〜2003年の間に生産されたと推測される私の所有するエドワードグリーンと、2018年現在のロゴや箱、同梱物などの比較をこの記事で紹介したいと思います。



ロゴや箱の変化

まず、左の”新”と書いてる箱が2014年以降から現在(2018年)に至るまで使用されている化粧箱になり、2018年12月に個人輸入して購入したチェルシーが収まっていたものです。

右が2000年〜2003年までに使用された旧ロゴの化粧箱になり、私がノーザンプトンのファクトリーストアで購入したマルバーン(モルバーン)の収まっていたものになります。

以後、比較する画像は全て左が新で、右が旧のものになります。

ちなみに2004〜2014年までは靴のインソールなどのロゴは上記どちらの時代とも違う意匠のロゴが使用されていました。

化粧箱側面の靴の種類やサイズの表記がある部分についてもロゴや表記の仕方に変化があります。

同梱されているシューバッグとクロス(靴を磨くための物と思われる)に施されているロゴも同様に違いがあります。

また、化粧箱の中の色も現行の物はグレーに変化していました。

実際に触って感じたのは生地の違いです。

シューバッグ、クロス共に現行の物は裏がザラザラしており、すぐに裏表が判別できますが、古い物は裏面も比較的柔らかい質感でロゴがなければ、どちらが表面か判別できない感じでした。

そして一番重要な靴本体のロゴの変化です。

だいたい、みなさんはこの靴のインソールに施されたロゴの違いで、その靴が生産された年代を判別しているようです。




上の画像はモルバーン(マルバーン)になります。

インソールのロゴは金色のアルファベットで表記されており、四角く囲まれています。

このロゴが2000年〜2003年の間に使用されたロゴになります。

ちなみに、上の表記に加えてロゴ一番上の所にMADE BYと表記されている物は旧工場で生産された80年代頃の物のようです。

そして上の画像が2014年から2018年現在まで使用されているロゴがインソールに印字されています。

上と同様のロゴがインソールに印字されていたら2014年以降に生産された物と考えてまず間違いないでしょう。

インソールのロゴに書かれている文字を見比べて貰えば分かるのですが、古いロゴの物は

BOOTMAKERと表記され、現行のロゴはSHOEMAKERSと表記が変わっています。

これは、エドワードグリーンの歴史が深く関わっているものと思われます。

戦時中のエドワードグリーンはイギリス軍の軍靴を多く生産し供給していました。

いわゆるブーツをメインに生産していた時代でした。

そして戦後から現在にかけてのエドワードグリーンはオックスフォードタイプのドレスシューズの生産がメインになります。

もちろん今もブーツは生産しておりますが、カタログの2〜3割に留まっています。

そういった歴史的背景の名残から長らくBOOTMAKERと表記されていたのではないかと私は推測します。

靴と一緒に同梱されていた物で唯一現行のほうには無くなっていた物が画像右のシューケアの案内です。

革靴の手入れ方法が4ページほど英語で表記されている冊子でした。

現行では削減されてしまったようですね。

画像から見て分かるとおり、特に化粧箱の大きさや色に変更はありませんでした。

少々マニアックな記事になってしまいましたが、こうしたロゴの変遷や化粧箱や中身の同梱物の変化を紹介している情報がネット上にも中々ありませんでしたので、エドワードグリーン好きの豆知識として見てもらえればなと思い書きました。

ロゴの変化を知っておくことによって、例えば中古で購入したエドワードグリーンの生産された年代を判別する手がかりにもなり得ますので、意外に有用かも知れませんよ。



返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。