4ヶ月ぶりの下落
ビットコインが6月13日に1ビットコインあたり、71万円台の値をつけましたが未だ下げ止まる気配はありません。
71万円の価格まで下落したのは今年の2月以来で、実に4ヶ月ぶりの価格になります。
2月は1月末のコインチェックのNEMのハッキング事件から間も無く、返金や問題の沈静化の目処もたっていませんでしたので、ビットコインも大きく下落しました。
では、なぜまた2月の頃の価格に戻ってしまったのでしょうか。
ビットコイン下落の3つの原因
1、モナコイン、BTG(ビットコインゴールド)への51%攻撃
2、韓国取引所のCoinrail(コインレール)で44億円のハッキング
3、テザーによるビットコイン価格の操作疑惑
まず、5月の初旬はビットコイン価格が110万円台に乗るなど上昇相場でした。しかし、それに水を差したのが、1番目に挙げたモナコイン、ビットコインゴールドへの51%攻撃です。
51%攻撃の詳しい内容は私の【ブロックチェーンとは】、という記事で述べたので割愛しますが、上記の攻撃によりモナコインとビットコインゴールドは取引記録を改ざんされてしまい、取引所が億単位での損害を受けました。
51%攻撃が成立してしまった原因はモナコイン、ビットコインゴールドともに取引高の少ない比較的マイナーな通貨であったためである、というのが大筋の見解です。
取引高が多く取引の盛んなビットコインやイーサリアムなどの通貨はブロックチェーンによる改ざんがほぼ不可能なことに変わりはありませんが、ブロックチェーン史上初の51%攻撃の成立ですので私自身も大変驚きました。
2月のコインチェックの件も含めた今までのハッキング事件はどれも取引所がハッキングされたことにより通貨が盗まれてしまうという内容でしたが、今回はブロックチェーンそのものが改ざんされてしまった事件ですので、今までとは全く性質の違う仮想通貨の信頼を根底から覆しかねない重大な事件だと言えます。
この事件から今回のビットコインの下落相場が始まったのは間違いないでしょう。
そして、2番目の原因は6月10日に起こった、韓国取引所のCoinrail(コインレール)への44億円相当のハッキングです。
イーサリアムの機能の一つであるERC20を利用して発行されたトークンがハッキングの被害にあったようです。これは、今まであったハッキングと同じように取引所のセキュリティホールを狙ったハッキング事件ですが、前述の51%攻撃により地合いの悪い仮想通貨市場に追い打ちをかけました。
そして、3つ目のテザーによる価格操作疑惑ですが、概要としてはテザー社が発行しているUSDTというドルに連動した仮想通貨があり、BTC(ビットコイン)価格が下落した際USDTを大量に発行し、これを大手仮想通貨取引所のBitfinexを介してUSDTからBTCへ換金することで不正にビットコインの価格を吊り上げていたのではないか、という疑惑です。
この疑惑の肝は、テザー社が発行するUSDTは、同社がUSDTの発行額と同等の米ドルを保有して発行することを担保とすることでユーザーはUSDTをいつでも1USDT→1ドルに換金することができるという点です。
つまり、この疑惑の発端はBTCの下落局面にあるときテザー社が保有しているドル以上の額のUSDTを不正発行し、それをBTCへと換金してBTCが下落しないように下支えしたのではないかということです。
もしこれが事実であれば昨年末のBTCの高騰は意図的に起こされた偽りの相場であったと言えます。
この疑惑自体は今年の1月頃にも大きな話題になりましたが、結局テザー社は最後まで米ドルの準備金などの情報開示することなく現在までうやむやのままで一時は鎮静化しました。
しかし、今月に入りまた疑惑が浮上し、下落相場に一層の拍車をかけている状況です。
まとめ
6月に入り今年も折り返しになりますが、ビットコイン価格は昨年末の暴騰から今年に入って暴落し、下げ止まることなく市場が冷え込んでいる印象です。
そして、ここ1ヶ月の間に気になるニュースが立て続けに起こっています。上記に挙げた51%攻撃とテザー疑惑です。
韓国の取引所のハッキングは仮想通貨の世界ではよくある事件ですが、今回の51%攻撃はブロックチェーンという仮想通貨の根幹をなす技術の弱点をついた改ざん事件です。
取引量の多いビットコインやイーサリアムなどの主要通貨では上記の方法を採っても未だに改ざんはほぼ不可能と言えますが、私を含め仮想通貨取引をしている人には大変ショッキングなニュースだと思います。
また、テザー疑惑も1月から話題になっているのでまたか、という感もありますがこのままテザー社が情報開示せずにうやむやの姿勢を取り続けるのであれば、それは仮想通貨市場にとっていつ爆発するかわからない火種を抱え続けるようなものです。
昨年末のお祭り騒ぎが落ち着き今は底を探りつつの下落相場です。私はビットコインを含めた仮想通貨を手放す予定はありませんが、注意深く仮想通貨市場を見ていきたいと思っています。
仮想通貨も株も投資に絶対はありません。下落局面も上昇局面も自分のルールを曲げずに中立的な視点を意識して冷静に判断していきたいと思います。
みなさんも上記の事件を踏まえた上でホールドなのか、売りなのか、はたまた下落中の今が買いなのか、ご自身で情報を精査してブレない投資を心がけましょう。
どっちに転んでも投資は自己責任です。